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所有者は、抵当権が設定されている建物を取り壊してはいけないのか

【索引】抵当権付建物の滅失登記

1 財産権論・所有権論・物権論の枠において、所有建物を修繕したり変更したり取り壊したりする処分権は所有者のみにあります。したがって、財産権論・所有権論・物権論の枠において、取り壊しに賃借人や抵当権者の同意を得る必要はありません。

2 この裏返しに、所有者ではない無権限者が器物を損壊すると刑法器物損壊罪になり、そうでない場合は民法709条の損害賠償は措くとして器物損壊罪になりえません。

3 通常抵当権設定契約書には次のような条項がありますが、この承諾は物権論の枠外です。

第3条(抵当物件の処分・変更の禁止)
  乙は、甲の書面による事前の承諾がなければ、本件不動産の現状を変更し、譲渡し、又は第三者のために権利を設定しない。

4 したがって「財産権論・所有権論・物権論」において、建物所有者は、抵当権者の承諾や同意を得ることなく建物を取り壊してよいのです。

5 もちろん、昭56(0630)東京高裁のように民法709条の損害賠償がされることはありますが、それは別の問題になります。

6 また、昭36年(1018)大阪高裁の第一審は、訴えの利益のない空洞な裁判でした。
建物所有者・褒徳信用組合は、区画整理事業上によって建物を取壊しても抵当権者からの損害賠償がされないと判断したのであれば、抵当権設定契約書第3条にかかわらず「財産権論・所有権論・物権論」における絶対的処分権者の立場で抵当権者の承諾を得ることなく取り壊せばいい。

そうではなく、抵当権者からの損害賠償がされると判断したのであれば、区画整理事業組合に対して抵当権者の補償を求めることになります。

大福帳時代のように抵当権者の承諾書があったほうがいいのではないか

【索引】抵当権付建物の滅失登記

大福帳時代である昭和26年前は滅失登記の添付書類として抵当権者の承諾書は必要でしたが、昭和26年法律第150号による改正でその規定はなくなりました(参照)。

Pが真であれば必ずQが真になるという伴意。
すでに建物が消滅したことが真であるならば、それを土台とする抵当権も消滅することは覆らないのだから、抵当権者の承諾書は無用だろうという理由と思われます。

だったら、本登記をする際の遅れる仮登記の承諾書も同じ理由で無用です。

【不登Q&A選(7版)】Q36には、「抵当権者等の承諾書の添付がないからといって滅失登記が受理されないというものではありませんが、その場合には、登記官が実地調査をして建物が滅失していることを確認して登記を完了します」とあります。

建物図面・工事業者の証明書・現地写真によって、建物の滅失が客観的に明らかである場合で、規則93条の記載内容が「抵当権者に確認を採っていないし、弁済が終わっているか否かはわからないし、調査していない」とされた場合でも、当局はQ36のように実地調査をするのでしょうか・・・。

当局(法務局)は、国賠を怖れている気がするから・・・
この点において、形式的審査権しかない本登記をする際の遅れる仮登記の承諾書の差異があります。

建物の滅失登記に抵当権者の承諾は必要か

【索引】抵当権付建物の滅失登記

1 昭和26年前は、滅失登記の添付書類として必要でした。

昭36年(1018)大阪高裁:その判決文に『もつとも、昭和26年法律第150号による同法改正前は同法第93条第81条によりその建物の登記用紙に「所有権以外ノ権利ニ関スル登記アルトキハ申請書ニ其登記名義人ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス」ることとなつていたが、右改正により右各法条は削除された。」とある。

(注・昭和26年法律第150号の改正前は大福帳時代だが、現物を見ていない。)
したがって、この時代では、抵当権者の承諾書がなければ却下されたことになります。また、その承諾さは「本登記をする際の遅れる仮登記の承諾を求める」類になると思います。つまり、建物が滅失したことをもって承諾せざるをえない類です。それゆえに、「本登記をする際の遅れる仮登記の承諾を求める類」と同様に、抵当権者が承諾をしない場合は、昭56(0630)東京高裁のように抵当権者に損害が生じたか否かは別問題として、第93条第81条的に承諾をしなけければならない義務が生じ、この裁判を別途することになります

2 昭和26年法律第150号による改正により、法令上承諾書を添付する必要はなくなりました。
昭36年(1018)大阪高裁LGが判示するとおりです。

3 しかし、昭和26年の改正のあとの大阪法務局は、内部通達の類で抵当権者の承諾書を求めていたと思います。

4 【不登Q&A選(7版)】Q36によると、大阪法務局にかぎらず、登記所によっては承諾書(印鑑証明書付き)を求めているそうです。

5 ここで述べているように、規則93条の実地調査における調査報告書の記載例は、あたかも抵当権者の承諾を求めるか・実質的に消滅しているかということを調査しなければならないように勘違いします。すくなくとも、K先生とその周囲の調査士はおそらくその記載例を額面通りに読み込んで、そのように勘違いしています。名古屋のST先生も同じでした。

昭56(0630)東京高裁(コメント)

【索引】抵当権付建物の滅失登記
sites/21057920

一 判決文から概要を推測しました。

判決文には書いてありませんが、土地所有者と建物所有者が別であるから、借地と思われます。このことは損害額に借地権を含めていることから裏付けられます。同時に土地には本件根抵当権は設定されていないことになります。

被告会社は、この土地及び建物を同日に買い取ったかもしれません。別々かもしれません。別々であってもこの借地権(賃借権)の混同が論点になります。つまり、民法179条(520条)1項前半により土地賃借権と土地所有権が同一人物に帰属したので賃借権は消滅するか。しかし、同条但書の「その債権が第三者の権利の目的(つまり本件根抵当権)であるときはこの限りではないとされるので、本件賃借権はこの根抵当権の目的において消滅しません。

野地は島根を含む複数の債権者に相当多額の債務を負担しており、そのうち島根に対する債務のみでも約一三、〇〇〇、〇〇〇円にのぼつている」とあります。この債務は地代ではないだろうか(地代だとしよう)。

転売する目的で島根から買い受けたが、その地上には野地所有の本件建物が存在したので、同建物をも買い取つた上でこれを取り毀し、右土地全体を更地として売却するため」とあります。この建物は最初から取り壊す目的であった。

被告会社は、この土地及び建物を買い受ける前提として、地主島根に借地人野地に対し地代未払いによる賃貸借契約を解除をさせ、借地権を消滅させてからするべきであったと思います。

昭36年(1018)大阪高裁(コメント)

【索引】抵当権付建物の滅失登記

昭和34年(ネ)第1290号
標記判決文、①LLI②LGのものを掲載しています。

要旨を見ると、登記所を被告とした行政訴訟かと勘違いしました。
全文で建物所有者が抵当権者に対する裁判だとわかります。しかし、後述三のとおり変な裁判でした。

一判決文から、概要を推測しました。

(間違っているかもしれません)。

1 建物所有者・褒徳信用組合(ほうとく・後の大阪信用組合)
  抵当権者・A社(書かれていない)
  神戸市復興土地区画整理事業、計画道路のため建物が邪魔になった。
  借地だと考える。
  抵当権設定契約書には、次のように書かれている。

  第3条(抵当物件の処分・変更の禁止)
  乙は、甲の書面による事前の承諾がなければ、本件不動産の現状を変更し、譲渡し、又は第三者のために権利を設定しない。

2 褒徳信用組合は区画整理事業上建物を取り壊さなければならないが、契約上抵当権者Aの承諾が必要。残債はかなりあるとしよう。代担保がないからなのか事情はわからないが、抵当権者Aは取り壊しの承諾をしてくれない。そこで、提訴。

3 一審中に土地区画整理事業の施行に伴う除却命令により取り毀わされた(取り壊した)。そこで「本件建物の滅失登記申請につき不動産登記法第146条第1項の同意を求める」というように訴えを変更した。

二当時の法令状況

1 昭和26年法律第150号による不動産登記法改正前(いわゆる大福帳のときである。カササギ)は、その建物の登記用紙に「所有権以外ノ権利ニ関スル登記アルトキハ申請書ニ其登記名義人ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス」ることとなっていた(判決文より。原文をみていない-カササギ)。だから、昭和26年の時代は滅失登記をする際に抵当権者Aの承諾書が必要だった。しかし、この改正で削除された。

2 削除後の該当する条文が146条であり、それは次である。なお、権利に関する節にある条文である。また、現行法は68条である。
旧不動産登記法第146条 登記ノ抹消ヲ申請スル場合ニ於テ其抹消ニ付キ登記上利害ノ関係ヲ有スル第三者アルトキハ申請書ニ其承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス尚登記ノ抹消ニ付キ利害ノ関係ヲ有スル抵当証券ノ所持人又ハ裏書人アルトキハ其者ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲモ添附スルコトヲ要ス

【不登Q&A選(7版)】Q36によると、次のように書いてある。
「取り壊した建物に抵当権等の第三者のための登記がされている場合には、当該建物の滅失を証明する資料の一部として抵当権者等の承諾書(印鑑証明書付き)の添付を求める登記所もあります。」

 驚きです。名古屋は求めない…が…(いや、名古屋も承諾書を提出せよとまではされないが求められている。ここ)

 なお、括弧書きで次が加わる。

「(抵当権者等の承諾書の添付がないからといって滅失登記が受理されないというものではありませんが、その場合には、登記官が実地調査をして建物が滅失していることを確認して登記を完了します)」

 大阪法務局は、抵当権者Aの承諾書(印鑑証明書付き)の添付を求めたのではないだろうか(といううかそういう管内通達があることにします)。

三 

変な裁判というか、変な対象物だと思いました。

1 褒徳信用組合の弁護士が(または司法書士が)、旧不登法146条が権利登記を指し表示を登記を指さないことを知らず又は大阪法務局の滅失登記に抵当権者の印鑑証明書付の承諾書が必要という取扱事務に素直にしたがい、このような控訴内容にしなければならなかったという点は、措きます。

2 私が変だと思ったのは、第一審の対象物(訴訟物)です。
第一に、抵当権契約書の第3条で、そのような承諾が必要とされているから建物所有者は承諾を求めたいことはわかります。しかし、取り壊さなければならないことが収用に近いことにあっても抵当権者には承諾する義務はありません。
したがって、第一審は、義務がないことをさせられないという-訴えの利益がないという理由で却下されるべきです。

第二に、私は上述で「大阪法務局は、抵当権者Aの承諾書(印鑑証明書付き)…そういう管内通達があることにします」としました。そして、原告褒徳信用組合弁護士は建物取壊し後に、この管内通達はおかしいと判断し、抵当権者Aの承諾書を添付ないで滅失登記を申請したとします。大阪法務局は抵当権者Aの承諾書がないことを理由に却下するとします。この場合、褒徳信用組合の弁護士は、抵当権者を被告にするのではなく、登記却下に対する行政裁判になります。

第三は、第二の裏です。原告褒徳信用組合弁護士は建物取壊し後に、この管内通達にしたがって、かかる通達で、被告抵当権者Aは既に取り壊された建物であることを理由にこの滅失登記の承諾をする義務があることを理由に訴訟を提起することになります。つまり、本登記をする際の遅れる仮登記の承諾を求める裁判です。


  
  

滅失建物抵当権の規則93条の記載内容

【索引】抵当権付建物の滅失登記

sites/21058563

規則93条の実地調査における調査報告書の記載例は、日調連が当局と調整のうえ作成したものと思います。その記載例を紹介します。

調査項目:滅失物件の抵当権者への確認(取壊の事実確認)
調査結果及び報告事項:
①当職は、〇〇銀行 × × 支店(12-3455-0123)の担当者□□氏に対し、本物件を取り壊して建替えを行うことを承認していることの確認を取っている。
②利害関係人である抵当権者が、その目的たる建物が滅失している事実の確認をしたこと、及び当該抵当権が事実上消滅したことを承認していることを確認。

K先生は、このサイトで『滅失登記ができるかどうかのポイントは、弁済が終わっていること…』『そのことを、調査報告書に書いて登記申請するので。特段の問題なし・年月日弁済済みとか、〇〇銀行○支店担当〇〇に抵当権付きのまま滅失登記をする旨の同意を得たなどと記載する』 と書いています。

控訴人(褒徳信用組合)代理人弁護士(おそらく担当司法書士)も建物の滅失登記に抵当権者の承諾が必要と考えていました。36年(1018)大阪高裁を見よ。なお(おそらく)大阪法務局の内部通達にはそのようにされていたと想像します。

調査士が抵当権者に対してするこの調査報告書の中心は、『貴方の抵当権が設定されている建物はこれ(指差し)であるか』です。調査士は建物取壊しのあとに登場するので、取壊して建て替えを承認するか否かと訊く場面にありません。被担保債権があるかないかは無関係です。建物の滅失登記に抵当権者の承諾は不要です。

この調査項目(滅失物件の抵当権者への確認)は、滅失建物に関係があった利害関係人当事者として、取り壊された建物が本件建物であるか否かの心証形成に役立たせるためです。不動産登記の落とし穴(新日本法規)(21建物の滅失登記に抵当権者の承諾は必要 )を見よ。

K先生が誤解するのも無理はないと思います。まず、とくに被担保債権が残っている場合において、当局としてそのあたりを知っておきたいのだろうと推測がハタラクのでしょう。この記載例は、代理人調査士としてその点を確認する義務があると勘違いしてしまう書きぶりですから。

抵当権者の同意を得ていないので、この滅失登記の申請をすると怒られる…という調査士がいるかもしれません。このような様式にすることによって、債権者の権利を不当に奪うことに牽制をかける効果を込めているのであれば、それは正しい行政事務ではありません。

したがって、私は、次のように考えます。

1 銀行に訊く内容は、『貴方の抵当権が設定されている建物はこれ(指差し)であるか』であり、取り壊して建て替えを承認するか否か・被担保債権はあるかないかは無関係です。昔甲野太郎に貸し付けをしたがすでに返済ずみの場合において、銀行は取壊承諾をする立場ではないし、無関係であるから指差さされた建物であるか否かにかかわらず承諾をするに決まっています。

2 被担保債権が残っていて抵当権者があらかじめ建物取り壊しに反対している場合であっても、『貴方の抵当権が設定されている建物はこれ(指差し)であったか』と訊き「YES・指差された建物に抵当権を付けたのだ」という回答は意味があります。ただし訊きづらいと思います。

3 だいたいこのような抵当権者の証言は、建物が滅失されたという事実にそれほど貢献しないと思わいます。取壊業者の証明書や現地の写真などで公簿の建物が十分に特定できたのであれば不要です。且つ抵当権者に訊きづらい状況にある場合は「確認を省略しました」とするのがいい。

4 銀行ではない個人抵当権者で、すでに死亡しており、数十年前から弁済もしておらず、抵当権相続人が無関心で本件建物や債務者・設定者のことを知らない場合、この抵当権者相続人に「建物はこれ(指差し)であるか否か」を訪ねたところで意味はない。

5 問題は滅失建物の特定にあり抵当権が消滅しているか否かは無関係であるから、被担保債権を弁済したことを証する書面(たとえば供託書)またはその旨を調査報告書に書いても、意味はない。


不動産登記のQ&A210選(Q36 滅失登記―申請方法)には、次のようにあります。
「取り壊した建物に抵当権等の第三者のための登記がされている場合には、当該建物の滅失を証明する資料の一部として抵当権者等の承諾書(印鑑証明書付き)の添付を求める登記所もあります」
ついで『なお、抵当権者等の承諾書の添付がないからといって滅失登記が受理されないというものではありませんが、その場合には、登記官が実地調査をして建物が滅失していることを確認して登記を完了します』とされています。

長男の孫を養子(被相続人弟)

sites/21057458

O先生へ

ご意見のとおりと考えます。
   O先生質問そのものは。それは、3.21です。
  しかし、3.22がわからない・・・・3.22が3.21に影響することはないと思う。しかし、3.22をまとめないと気持ちがわるい。だから、この記事はふわふわします。

なお、軸足は、第900条よりも相続資格の重複(または二重資格の相続人)が先な気がしました。
これを組み込まないと火傷しそうな気がしました。

O先生の無意識な引っ掛かりには、長男の子に二重資格の余地を感じそれが法定相続分になんらかの影響を生じる・・・とお見受けしました。そこで、この先行問題を分析することにします。

第1 
1 
1.01 重複症状は、養子縁組をしないと生じないはずです。婚姻もあり得るかとよぎりますが、配偶者相続人・血族相続人という構造からしてないでしょう。養子縁組のあと養子と子どうしが婚姻する場合は養子縁組で生じた部類とします。
1.12 養子縁組をすると必ず二重の続柄となります。これを「広義の二重資格」を名付けます(kasasagiの造語)。
1.13 そのうえで相続人として配偶者であり兄弟姉妹というような複数資格を切り出します。これを「狭義の二重資格」と名付けます(これも個人的造語)。

1.011 広義と狭義が鬱陶しいかもしれません。広義のほうが不要という意見があるかもしれません。でも僕は段階的に考えたいので、僕には広義が必要でした。

 文献では、両方どりを「両立する」、片方のみを「両立しない」というように書かれていますが、しばらく『両方とも』と『片方に吸収する』とします。間違っているかもしれません。

1.2  かかる二重資格は相対的で2種があり、正と逆があります。
1.21  当事者系:主体が対象を養子(親)にすることによって、主体と対象間に生じる二重資格。
1.22 関係者系:誰かが誰かを養子(親)にすることによって、当事者以外に生じる二重資格。

1.3  このテーマは①広義の二重資格、②狭義の二重資格、③二重資格の場合両方かそれとも片方に吸収されるかという順序で進めていくことが体系的に且つ分析的になると思います。
1.31 なお、①②は事実の問題で解釈の問題ではありません。③aが選択(判例・解釈)の問題とで先例をあたる作業となります。
1.311 また、③bに一方のみを相続放棄できるかという類があります。③cという気がつかないテーマがあるかもしれません。

第2 
2.01 すべてのパターンを網羅しませんが、既出パターンは次です・・・いや、これ以外はないのでしょう。

2.1 孫を養子
2.2 自己の非嫡出子を養子
2.3 嫁婿を養子

2.4 弟を養子

第3 

3  O先生の事例は「2.1」になります。祖父を被相続人とすると次になります。
3.01 事例2.1のよくある既出パターンは次です。それぞれみていきましょう。
3.11 長男は死んでいない。狭義の二重資格にない
3.12 長男が死んでいる。狭義の二重資格にある。昭26(0918)民事甲第1881号民事局長回答で両方となっている。

3.201 弟を被相続人にします。O先生の事例は3.21ですが、3.22を加えます。

3.21 兄は死んでいない。狭義の二重資格にない。潜在的に二重資格にあるからといって養子分をなくすことはできない。
3.22 兄が死んでいる。狭義の二重資格にある。両方なのか片方なのか。両方なのだろいう。裏付けを探していないが3.12がそうであるからそうなると思う。

★ほんどうかな?? つまり、三男甲2 兄の子乙2、養子乙1なのか? ★それとも・2.2と2.3のように片方に吸収されるのか?????  2.3は認めないのでこれも認めないのではないか? そうすると3.21も怪しくなる・・・・★★たぶん、2.2と2.3だけが両方を認めないのであって、その逆は認めるのだろう。そして、その他(裏)も認めるのだろう。きっと、これを第一段仮説として軸に置く。美美美美★★、今のところは、片方のみ(片方に吸収される・剥奪?)はこの2点だけであって他にはない。O先生の事例はそもそも狭義の二重資格でないので剥奪系に掛かることはない。同じ親族構造でも死亡の前後により狭義の二重資格になることがある。この場合この2点が剥奪(吸収されてしまう)となru.

ーーー狭義の二重資格で両方のパターンは2.1だけであり、2.2と2.3は片方だ、。★吸収されると表現されてた気がする。

なお2.4は狭義の二重資格にありません。

第4 

4 難しいのは3.22です。O先生の事例は3.21です。3.21では②狭義の二重資格は生じません。O先生のご見解のとおりと思います。?????

二重資格あり(両立する)しかし片方のみである2.2と2.3の3.22相当(逆のパターンを網羅しないと・・・

もっというならば全体を網羅してみたい。つまり、
1.21のある方向を正とすると、逆がある。
1.22は、1.21の裏として、これも正と逆がある。

2.3において、夫死亡の場合妻は配偶者のみで兄弟姉妹分は吸収されてしまう構造だが、この逆はどうだろうか。整合性を採るならば夫の兄弟死亡において、妻はもう一つの資格の兄弟姉妹分はないことなる。おかしくないか、吸収論で説明するならば吸収元がない。そして、そうであったとして、おそらく離婚したのならば兄弟姉妹分は復活するのだろう。つまり、正の逆は異なる結論となるのか、それとも整合性を保つのだろうか。

このあとにこの点から整理してみよう。
山本正憲「二重資格の相続人」中川善之助先生追悼現代家族法大系編集委員会編『現代家族法大系4(相続I)』161頁(有斐閣)が詳しいらしい。青山修本より。

時系列で狭義の二重資格にならない場合となる場合がある。おそらくどれもだ。狭義の二重資格になる可能性がある場合でも、結果的にならなかった場合は両方ということでよいか。それとも潜在的に狭義の二重資格なる可能性がある場合、一律なのか。そうとはえない。

どこかで、狭義の二重資格が起こった場合できるだけ両方にさせる傾向にあり、片方に吸収あれるのは例外であることを読んだ気がする。逆だったかもしれない。

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以上

非繋印型は令16条の印証になるか?

sites/21057459

・非繋印型(単独型)とはなにか、ここ

1 かかるサイン証明の非繋印型(日本領事館のいう単独型)は、令16条の印鑑証明書になり得ます。
 根拠は昭33.8.27民甲1738など民事局の先例が満載です。なお、後述東京局の取扱いには筆跡鑑定のようなことをもって同一性を判断するのではなく機械的な照合をすると書いてあるように読めます。そして、名古屋局は機械的な照合することを前提に同一性確認は不可能といいます。冷酷な言い方ですが的を射ています。名古屋は言い過ぎかもしれません。奇跡的に一致することがあり得るのですから。

2 昭49 ・10 ・12東京法務局長回答があります。これには「委任状に署名したものに奥書証明をしたものでなく単なる署名証明書であっても登記官は印鑑証明の照合をするのと同様にサインの照合をして申請の適否を判断すればよい」と作業方法を明示しているそうです。山北本の孫参照です。名古屋節ならば『するしかない』となりそうです。

3 名古屋においては、昭和63年(具体的には登記情報19-153)では、上記先例・東京取扱と同じ表現でした。しかし平成4年(20号)に「…署名及び拇印証明は、署名、拇印の同一性の確認が不可能ゆえこれを添付した相続登記申請書は受理出来ない」と表現を変えます。見解を変えたわけではありません。「要するに」ということです。梅北本にあります。この登記情報はきんざいのそれではありません。

4 印鑑ですらいつも同じ印影になるとは限りません。朱肉のつき方・押し方の違いにより一方が太くなり・一方が細くなるのは周知の事実です(これを「①印影におけるムラ」とします)。こういったムラが激しくなければ同一と照合します。しかし、そのあとに印鑑が少し欠け印鑑証明書と一致しないケースは同一にしません。同一の印章から印出されたものだろうといいたくなりますが、相違は相違。ダメなものはダメです。印章鑑定をしているのではないのです。顕(表)れた印影の照合をする作業をしているのです。
    ①印影におけるムラ
    ②印影と同等のムラ
    ③サイン特有のムラ
    ④ムラではない類(印章の欠け・字画の差異)

5 筆跡は、ペンによって太さが・スペースによって大きさが異なります(これを「②印影と同等のムラ」とします)。そして、その時の体調などによって形状の歪み・線の角度・ハライが異なります(これを「②サイン特有のムラ」とします)。
 東京局回答は、②印影と同等のムラを許容する書きぶりです。さらに②サイン特有のムラをも許容してくれそうな気がします。いっぽう、名古屋局は、ペンの差異による太さ・筆圧によるムラすらも否定するする書きぶりで硬直すぎるかもしれません。ただし、むしろ完全一致することは怪しいのですからこのような理由だけで評価することはできません。このあたりがこの問題の基本軸になります。はっきりさせない・させれないのです。

6 ④ムラではない類(印章の欠け・字画の差異)は、照合不一致となります。③サイン特有のムラ(線の角度など)を超えた・線が一本から二本になったり・一つの跳ねが二つになったりする字画の変化は、欠けた印影を提出したと同じで救われることはありません。サイン証明における署名は生涯変わらないものとみなされます。だから、有効期限というものがありません。同一人物の字画は異なることはないとするのが基本です。

7 吉田公一著の「筆跡・印章鑑定の実務」という本(ここ)。そこに「鑑定人は断定し過ぐる(シスギルと読みます)。 断定に重きをおきて理由を粗略にする」「予は書家の鑑定より老練なる裁判官の鑑定の方が正確だと思う」とあり興味深いです。私も、日本人の署名に限り複数のサンプルをもらえれば、同一人物だろうという見解に達することがあります。それは全人格的判断です。それは筆跡鑑定の領域に入っています。加えて背景事情なども要素にいれたりして判断します。そういった鑑定・判断は登記官の形式的審査権を超え危険です。

8 前述吉田公一本61頁に「筆跡の構成要素」が説明されています。『手書き文字は、運筆によって字画(じかく)が書かれ、字画が組み合わされて文字形成されるが、字画の運筆や組立てには運筆が関与する。筆跡の検査では運筆状態、字画形態、字画構成を扱うことはできない。』あります。

 筆跡鑑定をなんども試みた人なら理解できると思いますが、または野球選手のサインをみてもらえれば一目瞭然ですが、実際のところ③サイン特有のムラの程度(形状の歪み・線の角度・ハライ)と④ムラではない類(字画の差異)の境界は曖昧です。楷書のようにそうでないものもあります。

以上

サイン証明の区分

名辞問題、sites/21057415
外国人がその所有不動産につき登記義務者として登記を申請する場合

#昭和25年は、その外国人の不動産登記法施行細則第25条(その後第42条、新法では令16条)による印鑑証明書の提出は不要と解釈していました。ただし、そこではそのことはオカシイと誰もが考えていた衒いが見え隠れします。昭和25年は、つまりサイン証明書が提供されなくても、サインがされていれば足り、登記の申請が受理される。言い換えれば、外国人の同一性の確認は、登記済証の提出のみで十分であり登記義務者である外国人が印鑑証明書の代わりとしてサイン証明書を提供したとしても登記官にとってそれは旧不動産登記法上の法定添付書面ではないので審査不要でした。これが初期値です。昭25(0215)432を見よ。
 そうして、現在の多様な形式になるまでの系統を示してみます。
-縦軸-
 1   奥書き型
 1-2 繋印型(貼付型)
 2   非繋印型(単独型)
 その先例のあと最初に取り入れられたものが奥書証明であり、次の事務処理上の利便から繋印形式が発明され、最後に日本の印鑑証明書と同じスタイルの非繋印型が登場したと考えるのがこの問題をとらえるのに理解に役立ちます。
-横軸-
#奥書きであろうと繋印があろうとなかろうと明示的でも黙示的にも「次の住所・署名(拇印)は私のソレ」であるという宣言が土台になります。そして、Notary(public含む)が発行する証明には、Jurat(ジュラット:本人が書類内容を宣誓するもの)と、Acknowledgment(アクノレッジメント:公証人が本人の身分証明書を確認するもの)があります。さらに、「1、1-2」では住所・署名(拇印)以外の委任内容を組み込むことが可能となります。

(補足)
1 Notary またはNotary public には公証の効果が生じます。しかし、〇〇事務処という行政の出先機関にそのような効果はないと考えるのが基本です。アポスティーユが必要です。また、行政の出先機関に多いですが肝心の「次の住所・署名(拇印)は私のソレ」という記述が欠けている場合が多いです。そのような記述がないところに「次の住所・署名(拇印)は彼のソレ」という効果が発生しえないと思います。
2 奥書き型は、奥書証明という用語が定着しているので説明不要と考えます。そして、繋印型と非繋印型はKasasagiの造語です。Kasasagiは、契印という表記と避け明瞭な「繋」を採用しています。両方とも「けいイン」でもいいですが「つなぎイン」と読ませたいです。貼付型・単独型は日本領事館が用いているのでそちらのほうが通りがよいかもしれません。日本以外では、1枚目と2枚目にホチキス留めをするだけ・糊付けするだけの貼り付けをすることがあるので注意が必要です。)

他の代理人が関与する登記

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かかる論点は、登記情報(上607号、中608号、下登記情報609号)で「代理人を異にする共同申請事件及び連件申請事件についてのオンライン申請」という名辞になっています。

次の構造でどうでしょうか。
 1 各自代理(売主司法書士A・買主司法書士B(別れ、京都方式))
 (1)基本並列型(二名連記型)
 (2)復代理型 (発展型):補足・復代理にによる申請事務脱退型(申請書に代理人として書かれない)
 2 連件(移転司法書士A、設定司法書士B)

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(考察)
1 当初は、各自代理ではなく「共同代理」という表現をしていました。そして復代理脱退型を”共同申請でない”としていました。
2 まず、登記用語において、単独申請・共同申請の二種の用語が絶対的です。民法上の自己契約・双方代理(各自代理)という用語も同様です。この既存用語との衝突を避けなければいけません。ですから「1」の共同代理・共同申請でないという用語を使うと誤解を生むので採用するべきではありません。
3 問題設定は極めて明確でした。焦点は「各自代理」という同一のシニフィアンの下で、①申請書上に代理人が並立する型(基本型)と、②復代理により一方が申請実務から離脱する型(発展型)を、いかに概念的に分節するか**という点にあるようです。

4 上位概念(共通の前提)
 まず上位概念は、**各自代理(別れ)**で固定するのが安定します。これは「代理権の構成」を表す語であり、申請書の表示態様とは切り離されています。
5 二名連記型
 この型の本質は、* 各自代理である* かつ* **代理人双方が申請行為に関与し、申請書上に表示される**点にあります。ここで「共同」や「連名」を正面から用いるのは避けるべきです。

6 復代理申請事務脱退型
 この型の核心は、* 各自代理という構成自体は維持されている* しかし* **一方の代理人が復代理を通じて、申請事務から退いている**という点にあります。ここで重要なのは、**「代理権が消えた」のではなく、「行使の場面から離脱した」**というニュアンスを正確に捉えることです。この点を踏まえると、適切なのは次の系統です。* **各自代理・復代理移行型*** **各自代理(復代理脱退型)*** **各自代理(申請関与単独化型)**とくに一つ挙げるなら、> **各自代理(復代理脱退型)**は、①復代理という法技術を明示し、②「単独申請」や「共同申請」と誤認される余地を最小化し、③申請書上の表示が一名になる理由を自然に説明できるという点で優れています。
 なお、(1)との対比から、復代理に発展すると申請書に「連記しない」という効果を示しているつもりです。そして、申請書に名を書かない結果、本人確認証明情報の不適格者となり、補正をすることができないという結果を説明できることになります。

7『2 連件』は、「1 各自代理」との対比から、各自代理ではない双方代理であることを示しているつもりです。
 なお、別記事に「連件の意味論」も見てください。

以上