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まず、赤線のうち1/6たる丸桃部分(右図の内円の9時の方向の1/6)が花子に落ちます(これを①とします)。同時に、右図の外円は梅子で3/6あります。ついで、梅子死亡により外円の9時の方向のシフォンケーキ部分(丸橙部分)が花子に落ちます(これを②とします)。
左図梅子を持ち出す必要はありませんが、右図の丸橙は左図の内円の9時の方向の部分にも顕れます。丸茶は左図のみにあらわれ、本件一次太郎の対象物ではありません。
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したがって、対象物というか対象主を父太郎とする軸をひいておけばたりる。つまり次で足りることになります。
④ 上記被相続人の開始した相続において(限り)、私譲渡人は、その有する相続分の全部を上記譲受人に無償で譲渡します。
しかし、こういったことがこの図を書いてみるまで私には落ちませんでした。
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ところで(そこで?)、念のためにこの①②という2つの部分を書いてみます(した)。
上記被相続人父太郎の開始した相続において、私譲渡人は、その有する相続分の全部(①私固有部分(1/6【桃】)と梅子(○日死亡)が有していた被相続人の相続分3/6のうちの私の持分(1/6【橙】))を上記譲受人に無償で譲渡します。(後述⑤)
もちろん隅付格好はこの文章限りの補助線です。
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書いてみて気がつきますが又は書かずとも当たり前かもしれませんが、繰り返すのですが()たる括弧書きはなくてもよいのです。
では邪魔か?
たしかにあると簡潔さが損ねられます。しかし書かれたゴツゴツした部分は明示的で分析的です。もしかすると、この図を持っていなかった時代の私にこの①②部分が示されれば理解できたかもしれない。ミエタというか。他の人も同じではないだろうか。
★分析的に分析
原子文は次です。
① 花子が、次郎に、〈花子の被相続人の相続分を〉譲渡する。
主格・与格(間接目的語)・対格(直接目的語)、述語の語順です。
直接目的語でノ格が連続します。その前半は所有格・属格であるからより分析的に次にします。
② 花子が、次郎に、〈花子に属する被相続人の相続分を〉譲渡する。
なお、この格は〈花子の父である(あった)被相続人〉という関係の格かもしれません。このあたりはよくわかりません。ユラギがありそうです。この点は、次の③の状況設定助詞の登場に伴う「…有する」表記への交代により無関係となります。
法制執務文の語順は「○は、」を先にするのが基本です。しかし、場面設定があるなら「~の場合、/~において(は)」としていちばん前に出しておくことがよいと思う。同時にガ格を係助詞ハに交代させ場面に応じた肩書を加えます(交代させます)。
③ 上記被相続人の開始した相続において、私譲渡人は、その有する相続分の全部を、上記譲受人に、無償で譲渡します。
最初の二つは格助詞ではなく係助詞です。最初のテンは思想のテン(本多勝一さん)として打っておきます。次のテンは逆順のテンとして残します。残りの読点は無くてもいい点(これも本多式)ですので削ります。
④ 上記被相続人の開始した相続において、私譲渡人は、その有する相続分の全部を上記譲受人に無償で譲渡します。
対象物(直接目的語)に父・母(外円・内円)という入れ子が生じているのではないか。本件は入れ子は生じていません。しかし、生じているという錯覚に陥るのです。分析的に視ると左図が浮かぶ。その緑部分が梅子に属するのではないかと不安になる。財産権上死者に属することはないのですが、属していたことはあったのです。
いずれにしても冒頭の①②という二つの部分がある。そこで(だから・ところでとして)それを入れてみるのです。より適切になったと主張するものではありません。
⑤ 上記被相続人の開始した相続において、私譲渡人は、その有する相続分の全部(①私固有部分(1/6【桃】)と②梅子(○日死亡)が有していた被相続人の相続分3/6のうちの私の持分(1/6【橙】))を上記譲受人に無償で譲渡します。
混乱・不安が数次相続に由来しているのだから、その状況設定をさらに加えるとさらに分析的になるはずです。そこで、そのことを前置きにしてみました。
⑥ 上記被相続人の開始した相続においては、遺産分割未了のまま梅子が○日に死亡していますが、私譲渡人は、①私固有部分の被相続人の相続分(1/6)と②亡梅子が有していた被相続人の相続分3/6のうちの私の持分(1/6)を上記譲受人に無償で譲渡します。
私としては、⑥のように書いてくれると嬉しいのだが。
以上
:後藤さんの論文を読みました。後藤論文では言及されていませんでしたが、私は、相続分はいかなるような切り取り方でも譲渡可能という説に立つこととしました。
★補足
たとえばこの事例は人的な全部です。つまり父の相続分全部です(花子が有する父の相続分全部です)。この人的なものをさらに人的な①又は②の部分のみを譲渡することが可能と考えます。この点はおそらく異論のないところでしょう。もちろん、②の33%のみを譲渡することも可能です。
そして、人的と対極側にある物的な切り取り方も可能と考えます。つまり、父太郎の土地についての相続分のみを対象として譲渡することも可能と考えます。おそらく、反対する人は多いでしょう。人的・物的ではなく割合的にしかできないと。なお人的は常に割合的になります。
それゆえに、人的と物的の混合的切取も可能と考えるのです。
ですから、次の相続分譲渡証明書も登記所で通ると考えます。しかし、根拠文献や事例が見つかりませんので裏付けがありません。否定する理由や理屈がないからそう考えるしかないというところです。
⑦ 上記被相続人の開始した相続において、私譲渡人は、①次のA土地については長男に、②B土地ついては次男にそれぞれ譲渡し、③残余は森不動産に譲渡したことを証明します。
以上