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H22(1227)3201依命通知

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【要旨】
養子縁組の届出に関する取扱いについての平成22年12月27日民一第3200号通達の対象となる虚偽の養子縁組と疑われる届出、届出地市区町村長による審査及び管轄法務局長等への照会の方法並びに管轄法務局等における調査について。

【全文】
平成22年12月27日法務省民一第3201号法務局民事行政部長・地方法務局長あて民事局民事第一課長依命通知
訓令【5291】
養子縁組の届出に関する取扱いについて(依命通知)
 標記の取扱いについて、本日付け法務省民一第3200号をもって民事局長通達(以下「本件通達」という。)が発出されたところですが、その運用に当たっては、下記の点に留意するよう貴管下支局長及び管内市区町村長に周知方取り計らわれるよう通知します。

第1 本件通達の趣旨
 本件通達は、近年、親子関係を創設するという養子縁組制度本来の目的を逸脱し、氏を変えることを目的として短期間に成年同士の養子縁組を繰り返すなど、縁組意思のない養子縁組(以下「虚偽の養子縁組」という。)の届出がされる事案が発生していることを受けて、その未然防止策として発出されたものである。
 したがって、本件通達の趣旨を踏まえ、適切な運用に努めるよう留意されたい。

第2 虚偽の養子縁組であると疑われる届出
1 本件通達1の「虚偽の養子縁組であると疑われる届出」とは、例えば、次のような場合である。
(1) 届出人のいずれかが、届出の前おおむね6か月以内に、養子縁組又は離縁を2回以上行っている場合(ただし、養子縁組又は離縁の当事者が前の養子縁組又は離縁の当事者と同一であるときは、1回として取り扱う。)
(2) 届出人のいずれかが、届出時に、二人以上の者と養子縁組をしている場合
(3) 第3の審査の過程で、届出人のいずれかが、届出時までに、養子縁組又は離縁を3回以上行っていることが判明した場合(ただし、養子縁組又は離縁の当事者が前の養子縁組又は離縁の当事者と同一であるときは、1回として取り扱う。)
(4) 届出人のいずれかの住民票が、職権により消除されている場合

2 養子縁組の届出がされた市区町村長(以下「届出地市区町村長」という。)は、1の(1)から(4)までのいずれかに該当する場合であっても、以下のいずれかに該当する届出については、本件通達による取扱いの対象外として差し支えない。
(1) 養子となる者の氏の呼称に変更がないとき。
(2) 養子縁組について家庭裁判所の許可があるとき。
(3) 自己又は配偶者の子を養子とするとき。
(4) その他、届出地市区町村長が、虚偽の養子縁組であるとの疑いがないと判断するとき。

3 届出地市区町村長は、1の(1)から(4)までのいずれにも該当しない場合であっても、以下のいずれかに該当する事情があり、これにその他の事情を考え併せると、虚偽の養子縁組であると疑われる届出については、本件通達による取扱いの対象として差し支えない。
(1) 届出人が、養子縁組の届出とほぼ同時期に、分籍又は転籍の届出をしていること。
(2) 届出人が、氏の変更後の住民基本台帳カード又は戸籍謄抄本の交付請求を必要以上に早急に求めてくること。
(3) 養親と養子との年齢差が、おおむね5歳以下であること。

第3 届出地市区町村長による審査及び照会
1(1) 届出地市区町村長は、養子縁組の届書に添付された戸籍謄抄本又は当該市区町村に備えられている戸籍若しくは保存されている除籍若しくは改製原戸籍(以下「添付された戸籍謄抄本等」という。)により、届出人の過去2年間における養子縁組又は離縁の履歴が明らかでない場合には、届出人に対し、添付された戸籍謄抄本等の直前の戸籍、除籍又は改製原戸籍の謄本(以下「直前の戸籍等の謄本」という。)の提出を求めるものとする。
(2) 届出地市区町村長は、届出人が直前の戸籍等の謄本の提出に応じない場合には、本籍地市区町村長に対し、直前の戸籍等の謄本の送付を求めるものとする。
(3) 届出地市区町村長は、(1)又は(2)により取得した直前の戸籍等の謄本の審査により、養子縁組の届出に不審な点があると認めた場合には、更にそれ以前の戸籍等の謄本を取得して審査をするものとする。

2 届出地市区町村長は、1の審査の結果、虚偽の養子縁組であると疑われる届出については、管轄の法務局、地方法務局又はそれらの支局の長(以下「管轄法務局長等」という。)に対し、当該届出の受理又は不受理につき照会をするものとする。

第4 管轄法務局長等による調査

1 管轄法務局長等は、届出人に対し、出頭を求めて事情聴取を行い、必要な資料があるときは当該資料を求めるなどの調査を行うほか、必要に応じ、証人・使者等に対しても、届出人に対する調査に準じた調査を行うなどして、縁組意思の有無について十分調査をした上、届出地市区町村長に対し、受理又は不受理の指示を行うものとする。

2 管轄法務局長等は、1の調査に当たり、届出人、証人・使者等による暴力行為等により職員に危害が加えられるおそれがあると認められる場合には、都道府県警察に協力を求めるとともに、届出地市区町村長に対して受理又は不受理の指示を行った後、必要に応じ、都道府県警察に対し、当該調査に係る情報を提供するものとする。

 なお、本件に関しては、警察庁と協議済みであるので、念のため申し添える。

H22(1227)3200民事局長通達

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H22(1227)3201依命通知 がある。

【要旨】縁組意思のない養子縁組の届出により戸籍に不実の記載がされることを未然に防止するための措置として、届出地の市区町村長は短期間に成年同士の養子縁組を繰り返し行っている者が届出人となっているなど、虚偽の縁組と疑われる届出については、その受理又は不受理につき管轄法務局長等に照会をする

【全文】
平成22年12月27日法務省民一第3200号法務局長・地方法務局長あて法務省民事局長通達
訓令【5290】
養子縁組の届出に関する取扱いについて(通達)
 近年、養子縁組制度本来の目的を逸脱し、縁組意思がないまま、氏を変更することを目的とする成年同士の養子縁組の届出がされ、戸籍に不実の記載がされるという事案が発生していることから、今般、縁組意思のない養子縁組(以下「虚偽の養子縁組」という。)の届出により戸籍に不実の記載がされることを未然に防止するための措置として、下記のとおり取り扱うこととしますので、これを了知の上、貴管下支局長及び管内市区町村長に周知方取り計らい願います。

1 市区町村長は、短期間に成年同士の養子縁組を繰り返し行っている者が届出人となっているなど、虚偽の養子縁組であると疑われる届出については、その受理又は不受理につき、管轄の法務局、地方法務局又はそれらの支局の長(以下「管轄法務局長等」という。)に照会をする。
2 管轄法務局長等は、1の届出に関し、届出人、証人・使者等の事情聴取を行うなどして、縁組意思の有無について十分調査をした上、市区町村長に対し、受理又は不受理の指示を行う。
3 管轄法務局長等は、2の調査を行う際、都道府県警察等に協力を求めるとともに、市区町村長に対して受理又は不受理の指示を行った後、必要に応じ、都道府県警察に対し、当該調査に係る情報を提供する。

平17(0116)福岡地裁

L06250717 福岡地方裁判所 平成17年(行ウ)第24号 法人税更正処分等取消請求事件 平成19年1月16日

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(要旨)(1) 会社は、法人税の申告に当たり、各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、確定した決算に基づき所定の事項を記載した申告書を税務署に提出しなければならないが、この規定の趣旨は、法人税の課税所得については、会社の最高の意思決定機関である株主総会又は社員総会の承認を受けた決算を基礎として計算されることにより、それが会社自身の意思として、かつ正確な所得が得られる蓋然性が高いという点にある。そうすると、同規定の「確定した決算に基づき」とは、株主総会又は社員総会の承認を受けた決算書類を基礎として所得及び法人税額の計算を行う意味と解すべきである。
(2) 我が国の株式会社や有限会社の大部分を占める中小企業においては、株主総会又は社員総会の承認を経ることなく、代表者や会計担当者等の一部の者のみで決算が組まれ、これに基づいて申告がなされているのが実情であり、このような実情の下では、株主総会又は社員総会の承認を確定申告の効力要件とすることは実体に即応しないというべきであるから、株主総会又は社員総会の承認を経ていない決算書類に基づいて確定申告が行われたからといって、その確定申告が無効になると解するのは相当ではない。したがって、決算がなされていない状態で概算に基づき確定申告がなされた場合は無効にならざるを得ないが、会社が、年度末において、総勘定元帳の各勘定の閉鎖後の残高を基に決算を行って決算書類を作成し、これに基づいて確定申告した場合は、当該決算書類につき株主総会又は社員総会の承認が得られていなくても、確定申告は無効とはならず、有効と解すべきである。


昭56(0919)東京地裁

東京地方裁判所 昭和52年(特わ)第3362号 法人税法違反被告事件 昭和54年9月19日

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(要旨)(1) 法人税法が確定決算の原則(法七四条一項)を導入している所以は、課税所得については会社の最高の意思決定機関である株主総会の承認を受けた決算を基礎として計算させることにより、それが会社自身の意思として、かつ正確な所得が得られる蓋然性が高いが故であるという趣旨に鑑みれば、たとえ商法上の確定決算上の手続に依拠せず、従って商法であるとしても、確定申告自体が、実質的に、法人の意思に基づきなされたものと認められる限り、税法上は法七四条に基づく有効な申告として扱うものと解するのが相当である。


(三) ところで弁護人は、被告会社においては商法二八三条所定の株主総会における計算書類の承認手続は全く行なわれていず、単に、被告会社の顧問税理士が申告書とともに貸借対照表、損益計算書を作成して、直ちに被告人Sにこれを示して同人の諒承を求め、同人の押印を得て申告書を提出しただけであるから、企業の意思すなわち株主の意思は明瞭ではなく、寧ろ「確定した決算」なるものは全く存在していなかつた旨主張する。
 しかしながら、法人税法が確定決算の原則(法七四条一項)を導入している所以は、課税所得については会社の最高の意思決定機関である株主総会の承認を受けた決算を基礎として計算させることにより、それが会社自身の意思として、かつ正確な所得が得られる蓋然性が高いが故であるという趣旨に鑑みれば、たとえ商法上の確定決算上の手続に依拠せず、従つて商法上は違法であるしても、確定申告自体が、実質的に、法人の意思に基づきなされたものと認められる限り、税法上は法七四条に基づく有効な申告として扱うものと解するのが相当である。

福岡国税庁の文章回答事例(H20(1024))

請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合について

請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について|福岡国税局

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この回答事例は印紙税に就いてです。
ファクシミリ通信や電子メールにより電磁的記録を送信することは書面の現実的交付ではない、したがって印紙税の課税文書に該当しないことは明らかです。ゆえに当たり前のことが書いてあります。
この回答事例の周辺や前提に次の三つのことを想起します。第一に、そもそも、そのようなメールで契約は成立するのかという点です。第二に、かかる注文書・請書は印紙税法2号文書に該当するらしくそれは「請負に関する契約書」とあるのにこの注文書・請書もこれに含まれるとされており、しつこいなという点です。第三に、①印章がないので二段の推定が効かないし、②電子署名法による署名もないのでかかる法令の推定が効かないので危ういという点です。第四に、かかる書面による契約書又は電子署名法による契約書を作成しないこと若しくは電子サイン(タブレットで入力した手書きサイン)でしたものは建設業法等や電子帳簿保存法に求める要件を満たしていないのではないかという点です。

昭52.8.22(4239)

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昭和52年8月22日付民三第4239号東京法務局民事行政第一部長、法務局民事行政部長、地方法務局長宛民事局第三課長依命通知
時効取得を原因とする農地の所有権移転登記等の申請があつた場合の取扱いについて(依命通知)
【4239】 標記について、別添のとおり農林省構造改善局長から依頼があつたので、協力方配意するよう貴管下登記官に指示されたい。

 なお、関係農業委員会あての通報は、電話連絡の方法によることも差し支えなく、また、司法書士が申請代理人である場合には、同人から事情聴取の上、必要があるときはしかるべく注意を喚起するのが相当であるので申し添える。

別添
52構改B第1673号
昭和52年7月27日

法務省民事局長 殿

農林省構造改善局長

時効取得を原因とする農地についての権利移転又は設定の登記の取扱いについて(依頼)

 農地について農地法第3条第1項本文に掲げる権利(以下単に「権利」という。)を設定し,又は移転する場合には,農地法に規定する許可を受けなければならないが,最近,農地法所定の許可を要する場合であるにもかかわらず,当事者双方の申請により登記原因を時効取得という名目でその許可を得ることなく農地について所有権移転の登記が行われている事例が見受けられる。

 このような農地法違反行為は,農地法の適正な運用を図る上で看過することができないので,今後は,違反防止の措置を講じ,農地法の励行指導につき一層の徹底を図るため,登記簿上の地目が田又は畑である土地について,時効取得を登記原因とした権利移転又は設定の登記申請があつた場合は,登記官からその旨を関係農業委員会に対し適宜の方法により通知するよう御指導願いたく協力方依頼する。

 なお,上記によることとして差し支えない場合には,別添により都道府県知事及び農業委員会を指導することとしているので,貴管下関係機関にも周知方お取り計らい願いたい。

法務省民三第4,240号

  昭和52年8月22日

        法務省民事局長 香川保一

 農林省構造改善局長 殿

時効取得を原因とする農地についての権利移転又は設定の登記の取扱いについて

 本年7月27日付け52構改B第1673号をもつて依頼のあつた標記の件については、別添のとおり各法務局及び地方法務局の登記官に協力方配意するよう、通知したのでお知らせする。

ーー

昭56(0630)東京高裁

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コメントあり
【索引】抵当権付建物の滅失登記

損害賠償請求控訴事件

【事件番号】 東京高等裁判所判決/昭和56年(ネ)第316号
【判決日付】 昭和56年6月30日
【判示事項】 建物について設定された未確定根抵当権を過失によって消滅させた場合と損害賠償額算定の基準時
【判決要旨】 被担保債権の元本の未確定の根抵当権の設定登記のされた建物の譲受人が過失によって建物を取り壊し、根抵当権を消滅させた場合において、右建物の譲渡当時、根抵当権設定者が、建物の譲受人が建物を取り壊す目的で買い受けることを知っており、かつ根抵当権の被担保債権発生の原因となる継続的取引は客観的には継続せず、新たな元本債権は生じない状態にあり、しかし、右根抵当権の被担保債権である根抵当権設定者の根抵当権者に負っている債務の弁済期が到来していたものであるときは、建物の譲受人が根抵当権者に対して根抵当権侵害に基づいて負う損害賠償債務の金額の算定の基準時は、根抵当権消滅の時(根抵当権侵害の時)である。
【参照条文】 民法709
       民法398の2-1
【掲載誌】  金融・商事判例631号36頁
       金融法務事情984号60頁
【評釈論文】 金融法務事情1002号18頁

主   文

 本件控訴を棄却する。
 控訴費用は控訴人の負担とする。

       理   由

一 請求原因4の事実及び控訴会社において本件建物を取り毀したことは当事者間に争いがなく、《証拠》によると、請求原因1、2の事実及び控訴会社は、昭和五四年九月八日、訴外野地昭男から本件建物を買い受け、同月一三日その旨の所有権移転登記を経由したが、その数日後、控訴会社代表取締役小玉健五が現場で指揮をして、被控訴人に無断で本件建物を取り毀したものであることが認められ、右認定に反する証拠はない。したがつて、被控訴人は、本件建物の取毀しにより右根抵当権が消滅するに至つたため損害を蒙つたことが明らかである。
二 《証拠》によると、控訴会社は不動産業者であり、本件建物の敷地二六五平方メートルを含む島根正太郎所有の約六〇〇坪の土地を他に転売する目的で島根から買い受けたが、その地上には野地所有の本件建物が存在したので、同建物をも買い取つた上でこれを取り毀し、右土地全体を更地として売却するため、島根との土地買受の交渉と並行して野地との間で本件建物買受の交渉を行い、土地と建物の売買契約がほぼ同じころに成立したこと、控訴会社において、島根及び野地との契約締結の交渉に当たつたのは控訴会社で不動産売買の契約締結の職務を担当していた日戸規夫であるが、同人は、野地との交渉の過程において、野地は島根を含む複数の債権者に相当多額の債務を負担しており、そのうち島根に対する債務のみでも約一三、〇〇〇、〇〇〇円にのぼつていることを野地から聞かされており、野地に対して控訴会社が支払つた本件建物代金三、五〇〇、〇〇〇円も、日戸の立会いの下に、そのまま島根に対する債務の弁済として野地から島根に支払われたこと、日戸は、本件建物の買受に際し、被控訴人のための根抵当権が存することについては、野地から何ら説明を受けず、登記簿も閲覧せず、登記簿謄本を確認することもしなかつたため全く知らなかつたこと、日戸は、控訴会社に対する所有権移転登記手続のため、野地から本件建物についての野地名義の登記済証を預かり、これを司法書士に交付して右手続を委任したが、その際も、右登記済証の記載内容からは抵当権が存在することに気がつかなかつたこと、日戸は右登記手続の後、まだその旨の登記の記載のある登記簿謄本の交付も受けられない間に、直ちに、小玉健五に対し契約の締結ができ、移転登記手続をした旨の報告をし、その報告を受けた小玉は、その数日後に、自ら現場で指揮をして本件建物を取り毀したこと、控訴会社においては、小玉も、日戸も、右取毀しの後、一両日経つてようやく本件建物の登記簿謄本の交付を受け、初めて被控訴人のための根抵当権が存在することを知つたこと、控訴会社は、島根から買い受けた約六〇〇坪の土地を、昭和五四年一〇月ごろ他に転売したことを認めることができ、他に右認定に反する証拠はない。
 したがつて、本件建物の取毀し当時、日戸においても、小玉においても、被控訴人のための根抵当権が存在することは知らなかつたものと認められるが、本件のように他人が所有していた建物を買い受けて取り毀すに当たつては、それに先立つて、その建物について第三者の権利が存在しないかどうかを十分調査し、そのような権利が存在しないことを確認した上でこれを行うべきであり、特に本件建物のように登記がされている建物の場合には、その点を登記簿によつて確認することが当然必要であつて、建物の構造がどのようなものであつてもそれによつて異るところはないといわなければならない。そして、弁論の全趣旨によれば、控訴会社は、さして大規模の会社ではないことがうかがわれる上、不動産業者であつて不動産の権利関係の調査等については知識、経験を有し、ごく容易にこれを行い得たものであり、島根の所有土地に関する右取引は相当高額のものであつて、控訴会社代表者においても、日戸が本件建物について、野地との売買契約を締結し、司法書士に依頼して所有権移転登記手続をとつた直後、その旨の報告を受け、建物の取毀しも自ら現場で直接指揮して行つている状況にあるのであるから、小玉としては、取毀しを指示し、指揮するに当たつては、右のような点について、登記簿の調査を含む十分な調査、確認がなされていることを自ら確かめた上でその指示をするべきであつたのにこれを怠つたため、被控訴人のための根抵当権が存在することに気づかないまま、本件建物を取り毀し、右根抵当権を消滅させるに至つたものというべきである。してみると、控訴会社代表者小玉健五は、その職務を行うにつき過失により被控訴人の根抵当権を侵害したものというべく、控訴会社は、これにより被控訴人の蒙つた損害を賠償すべき義務がある。
三 そこで、損害額について検討する。
《証拠》によると、本件建物は昭和五五年度の固定資産家屋課税台帳になお登録されており、その評価額は一、六一九、六〇〇円となつているが、昭和五四年当時においても、その実際の価格は二、〇〇〇、〇〇〇円以上であること、本件建物の敷地に近い越谷市東越谷二-九-三の土地の昭和五四年度の公示価格は一平方メートル当たり七二、六〇〇円であるが実際の売買価格はこれを上回つていること、したがつて、前記敷地についての借地権付の本件建物の時価は、昭和五四年当時少なくとも一〇、〇〇〇、〇〇〇円を下らなかつたことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。そして、前記認定のとおり、昭和五四年九月当時、野地は、多額の負債を負担していたばかりでなく、右認定の事実によれば、控訴会社においては本件建物を取毀しの目的で買い受けるものであることを知悉しながら、控訴会社の買受交渉に応じ、被控訴人のための前記根抵当権が存在することを告げずにこれを売り渡すという挙に出て担保の目的物を滅失させるに至らしめたものであるということができ、したがつて、本件建物の売却当時、右根抵当権の基本となる被控訴人と野地との間の継続的取引は客観的にはもはや継続すべき状態になく、新たに右根抵当権の担保すべき元本は生じない状況にあつたものというべきであり、しかも、被控訴人の野地に対する前記貸金債権の弁済期は既に到来していたのであるから、本件建物に対する根抵当権の消滅によつて被控訴人の蒙つた損害の算定については、根抵当権消滅当時被控訴人の有した右債権額を基準とすべきものであるが、当時における借地権付の本件建物の価格は右のとおり一〇、〇〇〇、〇〇〇円を下らなかつたと認められるから、被控訴人は少くとも右資金元本四、五〇〇、〇〇〇円相当の損害を蒙つたものというべきである。
四 よつて、控訴会社に対し、右損害の賠償として金四、五〇〇、〇〇〇円及びこれに対する右不法行為の後である昭和五五年三月一五日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める被控訴人の本訴請求は理由があり、これを認容した原判決は相当であるから、本件控訴は棄却する。(裁判長裁判官 園田 治 裁判官 菊池信男・柴田保幸)

昭36年(1018)大阪高裁LLI

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ここに整理事項として掲載しています。LLI(判例秘書)による判例です。

【判例番号】 L01620576
       抵当権設定登記等抹消請求控訴事件
【事件番号】 大阪高等裁判所判決/昭和34年(ネ)第1290号
【判決日付】 昭和36年10月18日
【判示事項】 建物滅失登記申請について登記簿上の所有権以外の権利者の承認の要旨
【判決要旨】 建物滅失登記申請について登記簿上の所有権以外の権利者の承認を必要としない
【参照条文】 不動産登記法93の6
       不動産登記法146
【掲載誌】  下級裁判所民事裁判例集

(争 点)
 控訴人(褒徳信用組合)の主張
  「本件建物は本訴提起後である昭和三四年二月一〇日神戸市復興土地区画整理事業の施行に伴う除却命令により取毀され滅失するに至つたので控訴人に対し本件建物の滅失登記申請につき不動産登記申請につき不動産登記法第一四六条第一項の同意を求めるものである。」
(判 決)
 控訴人は本件建物の所有者として、その滅失を原因とする建物滅失登記申請をなすにつき登記簿上の抵当権者たる被控訴人の同意を訴求しているのである(請求の趣旨には、建物滅失を原因とする抹消登記申請につき同意をせよと表示されているが、右は不動産登記法第九三条の六の建物滅失登記申請に対する同意を求める趣旨であると解すべきである)。
 

不動産登記法第九三条の六によれば建物の滅失があつたときは「表題部ニ記載シタル所 者又ハ所 権ノ登記名義人ハ一ケ月内二建物ノ滅失ノ登記ヲ申請スルコトヲ要ス」るのであるが、その登記の申請については、現行不動産登記法上、登記簿上の所有権以外の権利者の承諾書等を必要とすべき規定もなく、かかる権利者において右登記申請において右登記申請に同意すべき義務はないと解すべきである。(もつとも、昭和二六年法律第一五〇号による同法改正前は同法第九三条第八一条によりその建物の登記用紙に「所有権以外ノ権利二関スル登記アルトキハ申請書二基登記名義人ノ承諾書又ハ之二対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス」ることとなつていたが、右改正により右各法条は削除された。)

 また、控訴人が挙示する同法第一四六条は、登記簿中事項欄の登記抹消につき「登記上利害ノ関係)有スル第三者」の承諾等を要するとしたもので、表示欄の抹消については、かかる第三者の承諾等は要しないものと解すべきである。したがつて、本件のごとき登記簿事項欄の抹消と登記用紙の閉鎖を招来する建物滅失登記の申請については、右法条を適用すべきものではない。

 そうすると、本件登記簿に表示された被控訴人名義の抵当権等が実体上有効に設定されたか否かにかかわらず、控訴人の体訴請求は主張自体理由ないことは明かである。
 控訴人は当審において訴を交換的に変更したもので鳴るから、新訴については第一審として判決すべく、控訴人の請求を棄却。

昭36年(1018)大阪高裁LG

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【索引】抵当権付建物の滅失登記

ここに整理事項として掲載しています。LGによる判例です。

(要旨)
■建物滅失を原因とする登記申請について、不動産登記法は登記簿上の所有権以外の権利者の承諾書等を必要とはしていないから、登記簿上の抵当権者において同意する義務はない。

■不動産登記法第146条は登記簿中事項欄の抹消について利害関係を有する第三者の承諾を規定したものであり、表示欄の抹消については第三者の承諾を要しないから、登記簿事項欄の抹消と登記用紙の閉鎖を招来する建物滅失登記申請については同条を適用すべきではない。


(全文)

主文
 控訴人の請求を棄却する。
 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実
 控訴代理人は「被控訴人は、控訴人に対し、控訴人が別紙目録記載の建物につき滅失を原因とする抹消登記申請をなすにつきこれが同意をせよ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は請求棄却の判決を求めた。

 当事者双方の事実上の陳述、および証拠の関係は、

 控訴代理人において「原判決事実摘示中原告の主張のような事実関係であつたところ、原判決別紙目録記載の建物(以下本件建物という)は本訴提起後である昭和34年2月10日神戸市復興土地区画整理事業の施行に伴う除却命令により取毀され滅失するに至つたので控訴人は訴を変更して被控訴人に対し本件建物の滅失登記申請につき不動産登記法第146条第1項の同意を求めるものである。」と述べ、立証として甲第5号証の1、2を提出し、証人横山司、同大浦努、同岩井初栄の各証言を援用し、

 被控訴代理人において、「本件建物が、控訴人主張のとおり滅失したことは争わない。しかし、建物滅失登記申請にあたり、利害関係人のなす同意は、利害関係人に同意義務の存する場合であり、本件において、被控訴人はその義務を負担しないから、控訴人の請求は失当である。」と述べ、立証として、証人岩井初栄の証言を援用し、「甲第5号証の1、2の成立はいずれも不知。」と述べたほかは原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。

理由

 控訴人は本件建物の所有者として、その滅失を原因とする建物滅失登記申請をなすにつき登記簿上の抵当権者たる被控訴人の同意を訴求しているのである。(請求の趣旨には、建物滅失を原因とする抹消登記申請につき同意をせよと表示されているが、右は不動産登記法第93条の6の建物滅失登記申請に対する同意を求める趣旨であると解すべきである。)

 不動産登記法第93条の6によれば建物の滅失があつたときは「表題部ニ記載シタル所有者又ハ所有権ノ登記名義人ハ一ケ月内ニ建物ノ滅失ノ登記ヲ申請スルコトヲ要ス」るのであるが、その登記申請については、現行不動産登記法上、登記簿上の所有権以外の権利者の承諾書等を必要とすべき規定もなく、かかる権利者において右登記申請に同意すべき義務はないと解すべきである。(もつとも、昭和26年法律第150号による同法改正前は同法第93条第81条によりその建物の登記用紙に「所有権以外ノ権利ニ関スル登記アルトキハ申請書ニ其登記名義人ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス」ることとなつていたが、右改正により右各法条は削除された。)

 また、控訴人が挙示する同法第146条は、登記簿中事項欄の登記抹消につき「登記上利害ノ関係ヲ有スル第三者」の承諾等を要するとしたもので、表示欄の抹消については、かかる第三者の承諾等は要しないものと解すべきである。したがつて、本件のごとき、登記簿事項欄の抹消と登記用紙の閉鎖を招来する建物滅失登記申請については、右法条を適用すべきものではない。

 そうすると、本件登記簿に表示された被控訴人名義の抵当権等が実体上有効に設定されたか否かにかかわらず、控訴人の本件請求は主張自体理由ないことは明かである。

 控訴人は当審において訴を交換的に変更したものであるから、新訴については第一審として判決すべく、控訴人の請求を棄却し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第89条第95条を適用して主文の通り判決する。

目録
 神戸市東灘区魚崎町魚崎字東下三反田166番の五地上
 家屋番号百67番
 一、 木造瓦葺2階建居宅 一棟
 建坪 23坪5合
 2階坪 14坪5合
 付属建物
 木造亜鉛鋼板葺平家建事務所
 建坪 2坪6合
 家屋番号169番
 一、 木造瓦葺2階建居宅 一棟
 建坪 16坪1合
 2階坪 5坪2合
 付属建物
 木造瓦葺平家建便所
 建坪 5合


昭25(0215)432

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昭和25年2月15日付民事甲第432号同局長宛民事局長回答g 

外国人が不動産に関する登記を申請する場合における印鑑証明書又はこれに代わるべき書面の提出方について

【465】 外国人が自己所有の不動産を売り渡し、その所有権移転の登記を申請するにあたり、印鑑証明書の代わりに市町村長が本人のサインに相違なき旨の証明をしたサイン入り証明書を提出したときは、これを印鑑証明として取り扱つて差支えないか。目下差しかかりたる事件がありますから電報回答願います。

回答

 貴見の通り取り扱つてさしつかえない右回答する。なお、外国人については、明治32年法律第50号(外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律)第1条の規定にかんがみ、不動産登記法施行細則第25条の規定の適用はないものと考えるので、照会のような証明書を提出しなかつた場合でも、その登記を受理すべきものであるから、念のため申し添える。