昭56(0919)東京地裁

東京地方裁判所 昭和52年(特わ)第3362号 法人税法違反被告事件 昭和54年9月19日

sites/21060158

(要旨)(1) 法人税法が確定決算の原則(法七四条一項)を導入している所以は、課税所得については会社の最高の意思決定機関である株主総会の承認を受けた決算を基礎として計算させることにより、それが会社自身の意思として、かつ正確な所得が得られる蓋然性が高いが故であるという趣旨に鑑みれば、たとえ商法上の確定決算上の手続に依拠せず、従って商法であるとしても、確定申告自体が、実質的に、法人の意思に基づきなされたものと認められる限り、税法上は法七四条に基づく有効な申告として扱うものと解するのが相当である。


(三) ところで弁護人は、被告会社においては商法二八三条所定の株主総会における計算書類の承認手続は全く行なわれていず、単に、被告会社の顧問税理士が申告書とともに貸借対照表、損益計算書を作成して、直ちに被告人Sにこれを示して同人の諒承を求め、同人の押印を得て申告書を提出しただけであるから、企業の意思すなわち株主の意思は明瞭ではなく、寧ろ「確定した決算」なるものは全く存在していなかつた旨主張する。
 しかしながら、法人税法が確定決算の原則(法七四条一項)を導入している所以は、課税所得については会社の最高の意思決定機関である株主総会の承認を受けた決算を基礎として計算させることにより、それが会社自身の意思として、かつ正確な所得が得られる蓋然性が高いが故であるという趣旨に鑑みれば、たとえ商法上の確定決算上の手続に依拠せず、従つて商法上は違法であるしても、確定申告自体が、実質的に、法人の意思に基づきなされたものと認められる限り、税法上は法七四条に基づく有効な申告として扱うものと解するのが相当である。