037総会は適法に成立するのか(ソニー事件)

☆ソニー事件

とある株主総会で、出席株主数および議決権数を報告し、次いで「本総会は適法に成立している」と述べて議事に入ろうとしました。議事録としては次のような発言です。

A:代表取締役社長〇が議長席に着き、本日の出席株主数および議決権数を上記のとおり報告し、本総会は適法に成立している旨を告げて開会を宣言し議事に入った。

ところが、議場から「適法に成立しているとはどういうことか、説明せよ」という発言がありました。その発言により、その総会は13時間半の超マラソン総会となってしまったのです。昭和59年のソニーの定時総会でした。

総会が午前10時に始まったのであれば、深夜11時30分に終了したことになります。食事休憩などがあったことを想像すると、休憩時間を加えると終了時刻は翌日になったのではないでしょうか。おそらく一般株主は、午後7時頃には夕食や翌日の都合で帰宅すると思いますが、どうやって収拾を付けたのかわかりません。


その発言をした株主、つまりその言葉尻に食って掛かって総会の進行を邪魔した者は総会屋でしょう。総会屋とは「株主総会における株主の権利を濫用して、不当な財産上の利益を得ようとする者」を指します。総会屋でなければ、このようなどうでもよいコトに紛糾して数時間を費やされることはなかったのではないか。総会屋でなければ「的を得ない回答だが、まあ、次にすすみましょう」として発言者は矛先を納めたと思います。しかし、総会屋は困らせることが目的にあるから手綱を緩めない。的を得ない議長の回答に「しめた」としてあらかじめ予定していた行動に移ったに違いない。


問題の根源は「適法に成立している」という曖昧な表現をつかったことにこそ問題があったともいえる。発言した時点で取り返しの付かなかった類です。そこで、この事件を教訓として、上場企業の議事録は上の「A」ではなく下の「B」のような記述(シナリオ)に変わったのだろう。

B:代表取締役社長〇が議長席に着き、本日の出席株主数および議決権数を上記のとおり報告し、本総会のすべての議案の決議に必要な会社法および定款に規定する定足数を充足している旨を告げて開会を宣言し議事に入った。

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僕がこのAとBのどちらを採用しているかというと(どのようなシナリオを書くかというと)、厳格方式と簡易方式とに使い分けています。ソニーのような大企業はAが多いです。

★書きかけ中★