事業用借地権の変遷

1 創設

事業用借地権は、1992年(平成4年)8月1日に施行された、旧法(借地法・借家法)を一本化した「借地借家法」によって創設されました。旧借地法には事業用借地権はありませんでした。
創設(導入)当時は、旧借地借家法24条の「10年以上20年以下」の一本でした。

2 旧法

(事業用借地権)
第24条 第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上20年以下として借地権を設定する場合には、適用しない。
2  前項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

3 改正法

その後、2007年(平成19年)の法改正(2008年(平成20年)1月1日から施行)により、存続期間が「10年以上50年未満」に拡大されます。

(事業用定期借地権等)
第二十三条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。
3 前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

4 旧新の条数の比較

条数が次のように24条から23条に繰り上がってしまいました。

第23条←→第24条の入れ替えによって、性質が似ている権利がまとめって整理されました。22定期・23定期と続いてよいです。24建物譲渡特約付借地権は、期間満了時に土地を更地で返すのではなく、建物を地主に買い取ってもらうという特殊な契約なので、他の「定期借地権」とは少し性質が異なるから、このグループの後ろに置くことによって自然な感じになりました。

(借地借家法第4節「定期借地権等」の見出し)

改正前(~2007年)改正後(2008年~)
第22条一般定期借地権一般定期借地権
第23条建物譲渡特約付借地権事業用定期借地権等
第24条事業用借地権建物譲渡特約付借地権

5 1項と2項

冒頭のように、創設(導入)当時は「10年以上20年以下」の一つだったのに、次のように1項と2項と分かれます。

  1項:30年以上50年未満
  2項:10年以上30年未満

1項と2項の違いは、2項が法24条の建物譲渡特約付借地権を併用することもできるのと、借地権の存続期間があります。そのほかに差異はなさそうです。

  新法1項:30年以上50年未満
  新法2項:10年以上30年未満
  旧法  :10年以上20年以下


index
事業用借地権の変遷
2. H04(0707)3930通達
3. H19(1218)2828通達
4. 登記研究721質疑応答7865


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