T09(0318)931民通

大9.3.18民事第931号民事局長通牒

テイハンの要約

申請書又は嘱託書の添付書類と不動産登記法第77条同法施行細則第39条の適用の有無
登記の申請書又は嘱託書に添付すべき登記原因を証する書面及び登記原因につき第三者の許可、同意又は承諾を証する書面その他登記に関し特に作るべきものでない附属書面については、不動産登記法第77条及び同法施行細則第39は、適用されない。先例集上452頁

加除出版の要約

添付書類の文字の不備及び契印漏洩と申請の受否
登記の申請書又は嘱託書に添付する登記原因を証する書面及び登記原因についての第三者の許可・同意・承諾書、その他登記に関し特に作るべきものでない付属書面中、その文字の記載方の不備及び契印の漏洩等があっても、それを理由として申請を却下すべきではない。

法令(いずれも旧法)

法77条 登記ヲ為シ又ハ申請書其他登記ニ関スル書面ヲ作ルニハ字画明瞭ナルコトヲ要ス
② 金銭其他ノ物ノ数量、年月日及ヒ番号ヲ記載スルニハ壱弐参拾ノ字ヲ用ヰルコトヲ要ス
③ 文字ハ之ヲ改竄スルコトヲ得ス若シ訂正、挿入又ハ削除ヲ為シタルトキハ其字数ヲ欄外ニ記載シ又ハ文字ノ前後ニ括弧ヲ附シ之ニ捺印シ其削除ニ係ル文字ハ尚ホ読得ヘキ為メ字体ヲ存スルコトヲ要ス
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細則39条 申請書カ数葉ニ渉ルトキハ申請人ハ毎葉ノ綴目ニ契印スヘシ但登記権利者又ハ登記義務者カ多数ナルトキハ其1人ノ契印ヲ以テ足ル

全文(原文)

登記ノ申請書又ハ嘱託書ニ添付スヘキ登記原因ヲ証スル書面及ヒ登記原因ニ付キ第三者ノ許可同意又ハ承諾ヲ証スル書面其ノ他登記ニ関シ特ニ作ルヘキモノニ非ラサル附属書面ニ付テハ不動産登記法第77条不動産登記法施行細則第39条及ヒ商業登記取扱手続第25条〔現行法・商業登記規則第41条〕ノ適用ナキハ勿論ナルニ往々此等ノ書面中文字ノ記載方ノ不備及ヒ契印ノ漏洩等ヲ理由トシテ申請又ハ嘱託ヲ受理セサル向モ有之哉ニ聞知候処右附属書面ハ登記ノ正確ヲ期スル為メ提出セシムルモノタルハ勿論ナルモ別ニ一定ノ形式ヲ定メラレタルモノニ無之ニ付キ其記載ニシテ全ク信ヲ措クニ足ラサルカ如キ場合ハ格別単ニ形式ノ不完全ヲ理由トシテ申請又ハ嘱託ヲ受理セサルカ如キハ甚タ妥当ヲ欠クモノト思考致候殊ニ産業組合ノ登記ノ如キ組合ノ届出ニ基キ地方庁ヨリ嘱託ヲ為スヘキモノニ付テハ之カ為メ登記ノ遅滞ヲ増スコト甚タ多ク其ノ当事者ノ権利ヲ阻害スルコト不尠ニ付キ爾後右様ノコト無之様特ニ注意セシメラレ候様致度此段及通牒候也

全文の現代語化

登記の申請書または嘱託書に添付すべき「登記原因を証明する書面」や、「登記原因について第三者の許可、同意または承諾があったことを証明する書面」、その他、登記のために特別に作成されるものではない附属書面については、不動産登記法第77条、不動産登記法施行細則第39条、および商業登記取扱手続第25条(現在の商業登記規則第41条に相当)の(文字の訂正等に関する)規定が適用されないのは当然です。

しかしながら、しばしばこれらの書面において、文字の記載方法の不備や契印の漏れなどを理由として、申請や嘱託を受理しないケースがあると聞いております。

これらの附属書面は、登記の正確性を確保するために提出させるものであることはもちろんですが、法律で定められた一定の形式があるわけではありません。そのため、記載内容が全く信用できないような場合は格別ですが、単に形式が不完全であるという理由だけで申請や嘱託を受理しないことは、甚だ妥当性を欠くものと考えます。

特に、産業組合の登記のように、組合からの届出に基づいて地方の行政庁が登記を嘱託するようなケースでは、形式的な不備を理由に不受理とされることで登記手続きが遅れることが非常に多く、当事者の権利を侵害することも少なくありません。

つきましては、今後はこのようなことがないよう、特段の注意を払っていただくよう、この旨通達いたします。

Kの原文の要約

  • 問題点: 登記申請の際、法律で厳密な形式が定められていない附属書類(登記原因証明情報など)について、文字の書き間違いや契印(割り印)がないといった形式的な不備だけを理由に、登記所が申請を受理しないことがある。
  • 見解: 書類の内容が全く信用できない場合は別として、単なる形式的な不備を理由に申請を突き返すのは妥当ではない。
  • 結論: 特に、行政庁からの嘱託登記などでは、手続きの遅れが当事者の権利を害することにも繋がるため、今後はそのような形式的な理由で安易に不受理としないよう、注意を促す。
  • 推測:産業組合から叱られた。

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