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【索引】抵当権付建物の滅失登記
ここに整理事項として掲載しています。LGによる判例です。
(要旨)
■建物滅失を原因とする登記申請について、不動産登記法は登記簿上の所有権以外の権利者の承諾書等を必要とはしていないから、登記簿上の抵当権者において同意する義務はない。
■不動産登記法第146条は登記簿中事項欄の抹消について利害関係を有する第三者の承諾を規定したものであり、表示欄の抹消については第三者の承諾を要しないから、登記簿事項欄の抹消と登記用紙の閉鎖を招来する建物滅失登記申請については同条を適用すべきではない。
(全文)
主文
控訴人の請求を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は「被控訴人は、控訴人に対し、控訴人が別紙目録記載の建物につき滅失を原因とする抹消登記申請をなすにつきこれが同意をせよ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は請求棄却の判決を求めた。
当事者双方の事実上の陳述、および証拠の関係は、
控訴代理人において「原判決事実摘示中原告の主張のような事実関係であつたところ、原判決別紙目録記載の建物(以下本件建物という)は本訴提起後である昭和34年2月10日神戸市復興土地区画整理事業の施行に伴う除却命令により取毀され滅失するに至つたので控訴人は訴を変更して被控訴人に対し本件建物の滅失登記申請につき不動産登記法第146条第1項の同意を求めるものである。」と述べ、立証として甲第5号証の1、2を提出し、証人横山司、同大浦努、同岩井初栄の各証言を援用し、
被控訴代理人において、「本件建物が、控訴人主張のとおり滅失したことは争わない。しかし、建物滅失登記申請にあたり、利害関係人のなす同意は、利害関係人に同意義務の存する場合であり、本件において、被控訴人はその義務を負担しないから、控訴人の請求は失当である。」と述べ、立証として、証人岩井初栄の証言を援用し、「甲第5号証の1、2の成立はいずれも不知。」と述べたほかは原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。
理由
控訴人は本件建物の所有者として、その滅失を原因とする建物滅失登記申請をなすにつき登記簿上の抵当権者たる被控訴人の同意を訴求しているのである。(請求の趣旨には、建物滅失を原因とする抹消登記申請につき同意をせよと表示されているが、右は不動産登記法第93条の6の建物滅失登記申請に対する同意を求める趣旨であると解すべきである。)
不動産登記法第93条の6によれば建物の滅失があつたときは「表題部ニ記載シタル所有者又ハ所有権ノ登記名義人ハ一ケ月内ニ建物ノ滅失ノ登記ヲ申請スルコトヲ要ス」るのであるが、その登記申請については、現行不動産登記法上、登記簿上の所有権以外の権利者の承諾書等を必要とすべき規定もなく、かかる権利者において右登記申請に同意すべき義務はないと解すべきである。(もつとも、昭和26年法律第150号による同法改正前は同法第93条第81条によりその建物の登記用紙に「所有権以外ノ権利ニ関スル登記アルトキハ申請書ニ其登記名義人ノ承諾書又ハ之ニ対抗スルコトヲ得ヘキ裁判ノ謄本ヲ添附スルコトヲ要ス」ることとなつていたが、右改正により右各法条は削除された。)
また、控訴人が挙示する同法第146条は、登記簿中事項欄の登記抹消につき「登記上利害ノ関係ヲ有スル第三者」の承諾等を要するとしたもので、表示欄の抹消については、かかる第三者の承諾等は要しないものと解すべきである。したがつて、本件のごとき、登記簿事項欄の抹消と登記用紙の閉鎖を招来する建物滅失登記申請については、右法条を適用すべきものではない。
そうすると、本件登記簿に表示された被控訴人名義の抵当権等が実体上有効に設定されたか否かにかかわらず、控訴人の本件請求は主張自体理由ないことは明かである。
控訴人は当審において訴を交換的に変更したものであるから、新訴については第一審として判決すべく、控訴人の請求を棄却し、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法第89条第95条を適用して主文の通り判決する。
目録
神戸市東灘区魚崎町魚崎字東下三反田166番の五地上
家屋番号百67番
一、 木造瓦葺2階建居宅 一棟
建坪 23坪5合
2階坪 14坪5合
付属建物
木造亜鉛鋼板葺平家建事務所
建坪 2坪6合
家屋番号169番
一、 木造瓦葺2階建居宅 一棟
建坪 16坪1合
2階坪 5坪2合
付属建物
木造瓦葺平家建便所
建坪 5合